社労士と社労士制度 よくある質問(Q&A FAQ)※掲載事項に関する一般の方からのご質問にはお答えしておりませんのでご了承ください。
開業社会保険労務士や社会保険労務士法人が、お客様に業務をアピールするため、社会保険労務士会に登録した事務所名や法人名(例えば〇〇社会保険労務士事務所、社会保険労務士法人〇〇等)とは異なる屋号、例えば障害年金については「〇〇障害年金相談センター」、助成金については「〇〇助成金サポートセンター、サポートオフィス」等の屋号を使ってホームページ等で広告宣伝を行っても問題ありませんか。
開業社会保険労務士や社会保険労務士法人が、登録された事務所名、法人名と異なる事務所名を使って社労士業務を引き受けることは社会保険労務士法違反となります。
「〇〇事務所」「〇〇相談センター」「サポートセンター」等の名称の如何にかかわらず、開業社会保険労務士は複数の事務所を設置することができず、社会保険労務士法人の社員は、所属する法人以外に事務所を設置することはできません(社会保険労務士法第18条第1項、第2項)。開業社会保険労務士は、1か所の事務所についてその名称及び所在地が登録事項とされています(社会保険労務士法第14条の2第2項)。また、社会保険労務士法人の社員が自己または第三者(ここでは例えば「〇〇障害年金相談センター」や「〇〇助成金サポートセンター」等)のために社会保険労務士法人の業務の範囲に属する業務を行うことは禁止されています(社会保険労務士法第25条の18)。
したがって、社会保険労務士業務を行う場合において、1か所の事務所について、社会保険労務士会に登録された事務所名以外の事務所名(屋号)で広告を行うということは、実際には存在しない事務所名で虚偽の広告を行っていることになります。社労士業務を行うにあたり虚偽・誇大広告等を行ってはいけません。
開業社会保険労務士が事務所の名称を、個人としての社会保険労務士と同じ名称、例えば「社会保険労務士〇〇〇〇(個人名)」としてもよいでしょうか。
事務所名が個人としての社会保険労務士と区別しにくいような名称の場合、顧客にとっては、業務を社会保険労務士事務所に依頼したのかどうかが判別しにくくなることがあり、不正を誘発する危険性が懸念されます。開業社会保険労務士の事務所名については、「事務所」であることがはっきりわかる名称にするようにお願いします。
例えば社労士が、社労士事務所以外の事業所、例えばコンサル会社が提案する勤怠管理に関連するアプリケーションソフトウェア等の広告物の中で、社労士の名前で適切な労務管理の重要性について意見を載せるようなことは問題ありませんか。
ご質問のように、社労士以外の業者の事業の広告物の中で、社労士が専門家として意見を掲載するようなことは、その内容が職業倫理上適切なものであれば問題ないでしょう。社労士には、業務に関する法令及び実務に精通していることはもちろん、職業人としての品位の保持と、公正な立場の維持、職務遂行における誠実さが求められています(社会保険労務士法第1条の2)。社労士として、職務の内外を問わず、社労士に寄せられる社会の期待と信頼に相応しい身の処し方を行うようにしなければなりません。
なお、例えば広告物の中で、社労士以外の業者と社労士が提携して社労士業務を行うように読み取れるような内容や、社労士以外の事業所と顧客、社労士との三者間で社労士業務について契約を行うような宣伝をしている場合は、社会保険労務士法第23条の2(非社労士との提携の禁止)に抵触することになります。
例えば開業社会保険労務士が、社労士事務所以外の事業所で外部から引き受けた厚生労働省管轄の助成金やその他労働・社会保険関係各種手続業務の関係書類を預かって内容を確認し、提出代行印等を押印することによって社労士が業務を行った扱いにすることについては問題ありますか? 書類の内容を社労士が責任をもってチェックするのであれば実務上支障はないと思うのですが。
まず、社会保険労務士事務所や社会保険労務士法人以外の事業所が厚生労働省管轄の助成金やその他労働・社会保険関係各種手続を他者から引き受けるということ自体が、社会保険労務士法第27条違反です。ご質問の事案については、社労士が他の事業所から顧客を紹介されるようなケースとは異なります。社労士の独占業務である労働・社会保険関係各種手続業務(1・2号業務)において、社労士以外の者に社労士の名義を利用させること(名義貸し)は社会保険労務士法第23条の2に違反することになります。社労士は、違反行為を直接、又は間接的に助長するようなことをしてはいけません。
もし、ある社会保険労務士事務所が顧客から社労士業務を引き受け、その後その社会保険労務士事務所が突発的な事件等により人員体制が不足するような事態となった場合には、引き受けた業務を他の社会保険労務士事務所に再委託することはできますか。
他士業の事務所が社労士業務(社会保険労務士法第2条第1号及び2号に規定された労働・社会保険関係手続業務)を受託すること及びそれを社労士事務所に再委託することは禁止されていますが、ご質問のような場合に社会保険労務士事務所が他の社会保険労務士事務所に業務を再委託することについては禁止されていません。
ただし、顧客との信頼関係保持のためには、顧客から社労士業務を受託した社労士は、業務を他の社労士事務所に再委託することについて顧客に説明し、承諾を得る必要があります。