社労士と社労士制度 よくある質問(Q&A FAQ)※掲載事項に関する一般の方からのご質問にはお答えしておりませんのでご了承ください。
当社が労働組合と団体交渉を行う際に、当社の顧問社労士に同席してもらうことや、団体交渉の席上で労働者側代表に対し社労士から直接意見してもらうようなことは可能でしょうか。
社会保険労務士は労働法と労務管理等を専門とする国家資格者であり、ご質問のようなケースでお役に立てることもあると思います。ただし、労使間の交渉事などにおいて社会保険労務士が依頼者の代理人となれるのは、個別労働紛争における労働局のあっせんや社会保険労務士会が運営する「社労士会労働紛争解決センター」でのあっせんの場に特定社会保険労務士が立ち会う場合等に限られています。
したがって、労働組合と事業所との集団的な労使関係について交渉を行う場合において、社会保険労務士が当事者の一方の代理人となることはできませんが、同席して依頼者とともに交渉すること、あるいは依頼者に指導・助言等をすることは可能です。例えば会社側に依頼されて社会保険労務士が団体交渉に同席する場合、社会保険労務士が処分権を持つ代理人として直接相手方に対し意思表示することはできませんが、会社側に対して助言等を行うことはできるということになります。
社会保険労務士が当事者の委任を受けて労使の団体交渉に同席する場合、代理権がないこと以外に注意すべきことは何でしょうか。
社労士が労使の団体交渉に出席する場合、団体交渉の冒頭において、社労士として出席するものであり、代理行為を行わないことを明確に表明するとともに、適正な労使関係を損なう危険性がある以下のような行為をしないようにしなければなりません。
①挑発的な言動を示す行為
②不当労働行為を示唆する行為
③労使双方が対立する論点について、一方の論拠にのみ基づく公平性を欠いた発言をする行為
社労士が会社役員又は労働組合役員ということもあり得ると思いますが、その場合、その社労士は、その所属する会社の労使協議や団体交渉に出席し、労働法の知識を活用して交渉に参加することはできますか。
会社と労働組合との交渉時に、社労士が会社側役員や労働組合の組合員として出席する場合については、制限はありません。
ただし、社労士が労使の団体交渉に出席する際に、その団体交渉に出席することを目的として事業所に雇用されたり会社役員になったりするのは、適正な労使関係を損なう行為として望ましくない場合があり、会則に基づく注意勧告の対象になることがあります。