開業社労士が事務所を設置するにあたり、ある特定の住所に登録上の事務所を設置しながら、実際の業務はそれ以外の場所で行うようにしてもよいでしょうか。

 事務所として登録した住所に実態として事務所が存在しない場合や、いわゆる「住所貸し」で住所を提供するようなサービス、あるいは登録した住所で郵便物や電話の受付も含めて対応するような類似のサービスを利用し、社会保険労務士やその他従業員が常駐しない場所を社会保険労務士の事務所として登録することについては、社会保険労務士法違反となる危険性があります。
 社会保険労務士法第18条における「事務所」の定義は、「開業社会保険労務士が継続的にその業務を執行する場所」であり、その判断は外部に対する表示、設備の状況、使用人の有無等の客観的事実に基づくこととなります。事務所として登録した住所において実際の業務ができず、業務上必要な各種書類の管理もできないような、事務所の体をなしていない状況では、そこは事務所の定義から外れることになります。また、登録した事務所がありながら実際には他の場所で業務を行っているということについても「その業務を行うための事務所を二以上設けてはならない」という社会保険労務士法第18条の規定に反することになります。
 開業社会保険労務士の事務所については、業務活動の本拠として実際に業務を行う場所を登録するようにしなければなりません。