社会保険労務士が行政機関等で指導等の業務をすることや、年金事務所での相談業務等を行うことがあるそうですが、業務を遂行する能力があれば、そこで社会保険労務士が自分の事務所の宣伝等を行い、場合によっては相談に来られたお客様を自分の事務所に誘引しても問題ないでしょうか。

カテゴリ: 社労士の職業倫理

 行政機関等に相談に来られたお客様に対して、そこで業務を行う社労士が自分の事務所を宣伝し、お客様を自分の事務所に誘引するようなことをしてはいけません。ご質問のような場合、お客様は例えば「労働基準監督署」や「年金事務所」等に対し相談をしているので、その信頼を裏切るようなことをしてはいけないのは当然のことです。また、行政機関等の職員には、国家公務員法第100条や地方公務員法第34条により、守秘義務が課されています。行政機関来訪者に関する情報を外部の社労士事務所等に漏らすのは違法行為です。
 また、社会保険労務士法第22条で「社会保険労務士は、国又は地方公共団体の公務員として職務上取り扱った事件及び仲裁手続により仲裁人として取り扱った事件については、その業務を行ってはならない」こととされています。相談等をした当事者の保護、社会保険労務士の職務遂行上の公正の確保、社会保険労務士の品位の保持という観点から、社会保険労務士の職責に反する行為を行うこととなる事件の処理をすることは禁止するという扱いになっているのです。