社会保険労務士が行政機関に書類を提出する場合には、添付書類を省略できるそうですが、どのような仕組みになっているのでしょうか。

カテゴリ: 社労士の業務

 社会保険労務士が作成した一定の申請書等については、その作成の基礎となった資料の添付、提示等の手続を簡略化し、社会保険労務士法第17条による付記をすることにより行政機関等において関係書類との照合を省略して差し支えないこととされています。「専門家が作成したのだから付記の内容を尊重しましょう」というものです。
 対象となる申請書等は厚生労働省令で定められていますが、例えば雇用保険被保険者資格取得届や喪失届、雇用保険被保険者離職証明書、労働保険保険関係成立届、厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届等で、社労士が作成、付記をした場合には、作成の基礎となった資料(労働者名簿、出勤簿、賃金台帳)の添付を省略することができる扱いとなっています。また、付記の方法については、付記印の使用が印影の形状まで通達で規定されており、文書の「社会保険労務士記載欄」の近くの欄外余白等に押印することとされています。
 ただし、付記がされている申請書等については関係書類との照合がすべて省略されるというものではなく、例えば、記載誤りや審査不備の多い社会保険労務士が作成したものである場合や不審な点がある場合等には関係書類との照合を行うこととされています。付記がされていても、関係資料との照合の省略は申請書等を受け付ける行政機関等の裁量によることになるため、社労士側としては、適確に業務を行うことで関係行政機関等との信頼関係を築くことが重要になります。