当社は社会保険労務士事務所でも社会保険労務士法人でもない一般の企業ですが、勤務する従業員の中に社会保険労務士として登録している者がいます。その従業員は社内での労働・社会保険関係手続を行うことはなく、社労士業務と関わりのない部署に所属しています。社労士業務を行わない従業員であっても社労士であれば、会社の名刺に「社会保険労務士」と記載しても問題ないですか。
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登録の種別
ご質問のケースとしては、企業に勤務している従業員が開業登録をしている場合と「勤務登録」や「その他登録」のいわゆる非開業登録である場合の二つが考えられます。
まず、その従業員が勤務登録ではなく開業登録をしている場合には、個人事業主としての開業社労士は、自らの事務所の名刺に社労士と表示することはできますが、その社労士が一般企業等に勤務している場合に勤務先の事業所の名刺に社労士と表示することはできません。開業社労士として事務所を開設しながら他の事業所において社労士と称するのは社会保険労務士法第18条第1項(事務所1か所の原則)に抵触するからです。
社会保険労務士事務所や社会保険労務士法人以外の一般の企業で、例えば営業等の社労士業務と関係のない部署にいる従業員が都道府県社会保険労務士会会員として「勤務登録」や「その他登録」をしている場合、その従業員は、自らが所属する企業の顧客等に向けて、対外的に社会保険労務士として労働、社会保険関係の指導・助言(3号業務)を行うことはできません。また、社会保険労務士事務所や社会保険労務士法人以外の企業等が労働・社会保険関係手続業務(1・2号業務)を行うことはできないため、当然その企業内の社労士がその企業の顧客等の労働・社会保険関係手続業務(1・2号業務)を行うことはできません。
一般の企業等に非開業として社労士登録をしている従業員が在籍し、その従業員が社労士業務を行わない、あるいは社労士として社労士業務を行うことができない場合にその従業員が事業所の名刺に「社会保険労務士」と記載すると、対外的に社労士業務を行うことができるような誤解を与えてしまう危険性があるため、記載しないのが望ましいということになります。