社労士と社労士制度 よくある質問(Q&A FAQ)※掲載事項に関する一般の方からのご質問にはお答えしておりませんのでご了承ください。
社会保険労務士になるには、試験に合格する以外に実務経験も必要なのですか? 実務経験がない場合はどうしたらよいでしょうか。
社会保険労務士になるには、社会保険労務士試験に合格しなければなりませんが、それ以外にも、所定の実務経験が必要とされます。
社会保険労務士法第3条第1項(資格)の規定に基づき、社労士となるための資格として、国家試験合格等に加え、「労働社会保険諸法令事務について2年以上の実務経験」又は「厚生労働大臣がこれと同等以上の経験を有すると認めるもの」が要件とされています。次の2つのいずれかとなりますので参考にしてください。
①企業等で2年以上の実務経験がある場合は、登録の際に「労働社会諸法令関係事務従事期間証明書(様式第5号)」を提出していただきます。
②企業等で2年以上の実務経験がない場合は、全国社会保険労務士会連合会が厚生労働大臣の認定を受けて「2年以上の実務経験」に代わる資格要件を満たすために実施する事務指定講習を受講していただきます。講習は、通信指導課程(4月間)と、面接指導課程(4日間)の組み合わせにより行います。この講習の修了者は「2年以上の実務経験」と同等以上の経験を有するものと認められ、社会保険労務士法第14条の2に規定する社会保険労務士の登録を受けることができます。
社会保険労務士試験に合格し、事務指定講習も受講すれば、すぐに社会保険労務士として仕事ができますか?
社会保険労務士試験に合格しただけでは、その他資格要件を満たしていても「社会保険労務士試験に合格した人」であり、社会保険労務士ではありません。社会保険労務士と名乗るためには、都道府県社会保険労務士会を経由して全国社会保険労務士会連合会に登録しなければなりません。例えば茨城県内に事務所等を設置している開業社会保険労務士や社会保険労務士法人の社員、また、県内の事業所の勤務社会保険労務士及び県内のその他登録会員は全員茨城県社会保険労務士会で登録の手続を行っています。登録していない人が社会保険労務士と名乗ることや社労士の独占業務を行うことは社会保険労務士法違反となります。登録の手続については、このホームページの「ホーム」→「社労士を目指す人へ」をご覧ください。
社会保険労務士試験に合格し、いずれ社会保険労務士として登録しようと思っているのですが、登録する前の段階で「社会保険労務士有資格者」と名乗ってもいいでしょうか。
社会保険労務士試験に合格しても、全国社会保険労務士会連合会に登録していないと「社会保険労務士」と名乗ることはできませんが、ご質問のように、社会保険労務士試験に合格し、登録していない状態で「社会保険労務士有資格者」と称することについては、実際には社会保険労務士ではないのに社会保険労務士であるかのような誤解を与えるため、適切とは言えません。
社会保険労務士試験に合格しても社会保険労務士として登録していない状態の人は、あえて言うなら「社会保険労務士試験合格者」です。
開業社労士として登録しても、例えば事情があってそれをあまり広く知られたくないような場合に、社会保険労務士会の会員名簿に掲載せず、事務所の所在地等も公開しない扱いにできますか?
開業社労士及び社会保険労務士法人の社員は、その氏名や事務所の所在地等を公開することとされています。平成19年6月22日に閣議決定された「規制改革推進のための3か年計画」に対応するため、平成20年3月14日に「全国社会保険労務士会連合会情報公開規則」が改正され、資格者に関する国民に有用な情報の開示を行う扱いとなっています。会員の情報の公開については、当時の規制改革会議からの要求に基づき、開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員として登録している者については、①会員の氏名、②事務所名称、③事務所所在地、④事務所連絡先(電話番号)について、都道府県会のホームページで会員情報を公開することとされています。
茨城県社会保険労務士会とは、どのような団体ですか。
茨城県内に事務所を設置する社会保険労務士や社会保険労務士法人の社員、茨城県内の事業所に勤務登録する社会保険労務士、茨城県内でその他登録する社会保険労務士は、すべて茨城県社会保険労務士会(以下「本会」といいます)の会員です。本会は、社会保険労務士法第25条の26に基づき厚生労働大臣の認可を受けて設立され、会員により運営される非営利団体であり、本会の組織活動を支える役員や各種委員会等のメンバーは原則として会員である社会保険労務士から選出されています。
本会の概要等についてはこのホームページの「ホーム」→「茨城県社会保険労務士会について」をご覧ください。本会の目的は、社会保険労務士会の会員の品位を保持し、その資質の向上と業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことです。そのために研修等を行うとともに、社会保険労務士制度の普及宣伝のための活動や関係行政機関に対する協力、裁判外紛争解決手続(ADR)機関の設置、その他社会貢献活動等を行っています。これらの活動等を通じて、本会は、会員のコミュニティとしても機能しており、会員の意見交換や専門家としての研鑽の場にもなっています。
また、本会は、全国社会保険労務士会連合会が行う社会保険労務士の登録及び社会保険労務士法人の届出に関する事務を行っています。
全国社会保険労務士会連合会とは、どのような団体ですか。
全国社会保険労務士会連合会(以下「連合会」といいます。)は、社会保険労務士法第25条の34に基づき全国の社会保険労務士会が厚生労働大臣の認可を受けて設立する特別な法人であり、全国の社会保険労務士会は連合会の会員という位置づけとなります。
連合会は、社会保険労務士会の全国的な連合組織として、社会保険労務士会の活動と機能の強化、拡充、また、その活動の全国的な統一を図るための団体であり、社会保険労務士会の会員の品位を保持し、その資質の向上と業務の改善進歩を図るため、社会保険労務士会及びその会員の指導、連絡に関する事務、社会保険労務士の登録に関する事務を行うほか、社会保険労務士試験の試験事務及び代理業務試験事務を行うことを目的としています。
社会保険労務士には「開業社会保険労務士」や「勤務登録」「その他登録」等の区分があるそうですが、その違いは何でしょうか。
社会保険労務士には「開業」「社会保険労務士法人の社員」「勤務」「その他」の4種類の登録の種別があり、勤務登録とその他登録を合わせて「非開業」として区分されることがあります。また、登録の種類によって社会保険労務士としての業務等が制限されることがあります。なお、開業から非開業への変更やその逆の変更など、登録の種別の変更は可能です。
登録の種別について簡単に解説すると下記のようになります。
①開業社会保険労務士
簡単に言うと、「自分の名前で」業として社会保険労務士の仕事をすることができるのが「開業社会保険労務士(開業社労士)」ということになります。開業社労士の仕事の仕方については、例えば大きな事務所を設置して事務員を何人も雇用している人や、自宅に事務所を構えて業務を行っている人もいるなど様々ですが、開業社労士は「事務所」を1か所設置しています。
②社会保険労務士法人の社員
「社会保険労務士法人」の社員である社会保険労務士は、法人に雇用されて勤務する従業員ではなく、社労士業務を組織的に行うことを目的として社会保険労務士によって設立された法人の社員(出資者)という位置付けであり、開業社労士的性格を持っています。
③勤務登録
開業社労士や社会保険労務士法人の社員以外の社労士(非開業社労士)としては、まず、社会保険労務士事務所や社会保険労務士法人、あるいは一般企業の事業所等に勤務登録している社労士(勤務社労士)が挙げられますが、社労士事務所や社会保険労務士法人に勤務登録している社労士は、勤務している社労士事務所や社会保険労務士法人と別に独自にお客様と契約して社労士業を行うことはできません。また、それ以外の一般企業等に勤務登録している社労士は、勤務している事業所の従業員の手続き等、事業所内の社労士業務しか行うことができません。
④その他登録
「その他登録」の社労士は、社会保険労務士法に規定された社会保険労務士の業務を社労士として行うことはできず、そのため、無資格者でもできる労働相談等を行う際に「社会保険労務士」と名乗って相談業務を行うこともできません。自ら開業登録して社労士業務を行うことをせず、所属する事業所があってもそこで勤務登録もしない、例えば企業等に勤務していて開業登録はしない状況であり、しかもその企業内で社労士業務に該当する業務を扱う部署にいないようなケースで「その他登録」として社会保険労務士会に登録している場合があります。
「その他登録」については、社労士として業務を行うことはできなくても、社労士会の会員として、他の登録区分の会員と同様に連合会や所属する都道府県社労士会等が行う研修等への参加ができ、連合会や都道府県社労士会等から各種情報を得られる、他の社労士との人的ネットワークを形成することができる等のメリットがあります。
当社は社会保険労務士事務所でも社会保険労務士法人でもない一般の企業ですが、勤務する従業員の中に社会保険労務士として登録している者がいます。その従業員は社内での労働・社会保険関係手続を行うことはなく、社労士業務と関わりのない部署に所属しています。社労士業務を行わない従業員であっても社労士であれば、会社の名刺に「社会保険労務士」と記載しても問題ないですか。
ご質問のケースとしては、企業に勤務している従業員が開業登録をしている場合と「勤務登録」や「その他登録」のいわゆる非開業登録である場合の二つが考えられます。
まず、その従業員が勤務登録ではなく開業登録をしている場合には、個人事業主としての開業社労士は、自らの事務所の名刺に社労士と表示することはできますが、その社労士が一般企業等に勤務している場合に勤務先の事業所の名刺に社労士と表示することはできません。開業社労士として事務所を開設しながら他の事業所において社労士と称するのは社会保険労務士法第18条第1項(事務所1か所の原則)に抵触するからです。
社会保険労務士事務所や社会保険労務士法人以外の一般の企業で、例えば営業等の社労士業務と関係のない部署にいる従業員が都道府県社会保険労務士会会員として「勤務登録」や「その他登録」をしている場合、その従業員は、自らが所属する企業の顧客等に向けて、対外的に社会保険労務士として労働、社会保険関係の指導・助言(3号業務)を行うことはできません。また、社会保険労務士事務所や社会保険労務士法人以外の企業等が労働・社会保険関係手続業務(1・2号業務)を行うことはできないため、当然その企業内の社労士がその企業の顧客等の労働・社会保険関係手続業務(1・2号業務)を行うことはできません。
一般の企業等に非開業として社労士登録をしている従業員が在籍し、その従業員が社労士業務を行わない、あるいは社労士として社労士業務を行うことができない場合にその従業員が事業所の名刺に「社会保険労務士」と記載すると、対外的に社労士業務を行うことができるような誤解を与えてしまう危険性があるため、記載しないのが望ましいということになります。
開業社労士は事務所を1か所しか設置できないそうですが、開業社労士が他の開業社労士の事務所に勤務して仕事を手伝うことや、社労士事務所以外の一般の事業所等に勤務することは可能でしょうか。
おっしゃるとおり、社会保険労務士法の規定により開業社労士は事務所を2か所以上設置することはできませんが、開業社労士が他の事業所に勤務してはならないということではありません。ただし、開業社労士が他の開業社労士事務所に勤務するときは、社労士としてではなく「ひとりの従業員として」業務を行うこととなり、二つの社労士事務所で「社会保険労務士(社労士)」と名乗って業務を行うことはできません。また、開業社労士であると同時に他の社労士事務所に勤務登録するような二重の登録をすることはできません。
開業社労士が他の一般の企業等に勤務しながら自ら業として社労士業務を行うことについては、法律等で禁止されてはいませんが、勤務先事業所に就業規則等で副業禁止の規定がある場合は無理ということになります。また、雇われていれば時間的に拘束され、勤務先での仕事もしなければなりません。ライバルとなる他の社労士事務所も存在している状況で、二足のわらじを履いて社労士事務所として業績を伸ばすのは困難な場合が多いと思われます。
開業社労士は事務所を1か所しか設置できないということについては、言い換えると開業社労士として複数の事務所を兼務することはできないということになりますが、勤務社労士や社労士事務所に勤務している事務員は、他の社労士事務所を兼務することはできますか。
勤務社労士は複数の事業所を兼務する形で登録することはできません。しかし、社労士事務所に勤務する事務員が他の事務所の事務員を兼務することについては禁止されていませんので、社労士事務所に勤務する事務員の方が他の社労士事務所にも勤務することについては差支えないということになります。
ただし、社労士事務所には、業務についての機密保持や個人情報の保護等が高いレベルで求められるため、機密事項の取扱いや文書の管理等が適正に行われるよう注意が必要です。特に、何らかの事情で複数の社労士事務所が同一の住所に事務所を設置している場合には、業務の受付や連絡から費用の請求等に至るまで、業務全般において混同されないようにすることが、トラブル防止の観点から重要になります。
社労士事務所について、例えば自宅に事務所を設置し、事業が小規模で社労士が一人で業務を行っているような場合は、社労士事務所としての表示をしなくてもいいですか。
事務所の表示については法令上の定めはありませんが、開業社会保険労務士は、その事務所については例えば「〇〇社会保険労務士事務所」や「〇〇社労士オフィス」等の事務所名称を明確に表示するようにしてください。自宅に事務所を設置する場合については、事務所としての執務スペースと私生活の場をきちんと区別する必要があります。また、これは自宅に事務所を設置する場合以外も同様ですが、事務所として業務上扱う個人情報の保護等に十分配慮しなければなりません。
なお、社会保険労務士法人の場合は、名称に「社会保険労務士法人」の文字を使用することが社会保険労務士法第25条の7により義務付けられています。
例えば社会保険労務士事務所の業務量が増えるなどして事務員の増員とそれを受け入れる事務所スペースが必要となり、しかも適当な転居先がない場合、従来の事務所を設置したままで事務所とは別に作業スペースを借りて、そこでもその社会保険労務士事務所の事務を行うことは可能でしょうか。
社会保険労務士事務所において、業務拡大等により事務所スペースが手狭になることもあると思います。また、テレワークの導入等により、事務所以外の場所で業務を行うこともあり得ますが、そのような場合に、従来の事務所以外に別途作業を行う拠点(サテライト・オフィス等)を設置して、そこでも事務作業を行うことは可能です。ただし、社会保険労務士事務所として登録した事務所が別にありながら、登録した事務所以外の場所にも事務所と誤認させるような表示をし、あるいはその事務所以外の場所を広告宣伝し、そこでも依頼に応じる旨の周知をする場合は、社会保険労務士法第18条(事務所1か所の原則)に違反することになります。
開業社会保険労務士や社会保険労務士法人の業務案内について、ホームページやパンフレット、メールの署名等で、事務所以外の場所、例えば開業社会保険労務士や法人の社員の自宅や他の事業所の電話番号や住所等を相談窓口や文書等の送付先、問合せ先として案内してもいいでしょうか。窓口が複数あると利用者にとって便利だと思うのですが。
社会保険労務士の資格は特定の個人に与えられるものであり、資格を有する者自身が業務を行わなければならないという観点から、開業社会保険労務士は、社会保険労務士法により事務所を2か所以上設置することはできないことになっています(社会保険労務士法第18条第1項)。
事務所を1か所設置していながら、事務所以外の場所、例えば自宅や他の事業所にも事務所と誤認させるような表示をする、自宅や他の事業所の場所を広告宣伝する、あるいは自宅や他の事業所でも業務の依頼に対応できるよう自宅や他の事業所の住所や電話番号等の周知をするなどして、通常の事務所以外の場所も継続して業務を行うための場所として判断される場合には、社会保険労務士法違反となります。
社会保険労務士法人の社員が、その業務について所属する社会保険労務士法人の事務所以外の事業所等の住所や電話番号を案内することも社会保険労務士法違反となります。社会保険労務士法人の社員は、社会保険労務士法人という主体の下で業務を行うという立場上、社会保険労務士業務を行うための事務所を設けてはならないことになっています(社会保険労務士法第18条第2項)。また、社会保険労務士法人の社員が自己または第三者のために社会保険労務士法人の業務の範囲に属する業務を行うことは禁止されているため(社会保険労務士法第25条の18)、社会保険労務士法人の名称を表示しながら自宅や他の事業所の住所、電話番号等で業務を受け付けるような案内をすることは不適切ということになります。
株式会社や合同会社等の会社として社会保険労務士事務所を設置し、例えば「株式会社〇〇社会保険労務士事務所」のような形態で社会保険労務士業務を行うことはできますか。
事業所の名称の如何にかかわらず、また、事業所内に社会保険労務士がいたとしても、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社が社会保険労務士事務所として社会保険労務士業務を行うことはできません。開業社会保険労務士は、個人事業主としてその業務を行うための事務所を1か所設置し、その業務を行うこととされています(社会保険労務士法第18条)。また、社会保険労務士業務を組織的に行うことを目的として設立が認められている法人は、社会保険労務士法人だけです(社会保険労務士法第25条の6)。
開業社会保険労務士が社会保険労務士事務所とは別にコンサル会社を設置して「相談・指導」業務を行う場合、社労士事務所とそのコンサル会社の両方で「社会保険労務士」と名乗って業務を行うことはできますか。
社会保険労務士法に規定された社労士の業務のうち、1・2号業務(労働・社会保険関係手続業務)は社労士以外の者が行うことはできませんが、3号業務(相談・指導)は社労士でなければ行うことができないというものではなく、社労士事務所ではないコンサル会社等でも行うことができます。しかし、そのコンサル会社に開業社労士が所属していたとしても、その社労士は、自身の事務所以外の事業所で社会保険労務士を名乗って業務を行うことはできません。社労士事務所とコンサル会社の2か所で社会保険労務士として業務を行うことは、事務所1か所の原則に反することになります(社会保険労務士法第18条第1項、第2項)。
なお、ご質問の事項と関連して補足すると、社会保険労務士法人の社員が自己または第三者のために社会保険労務士法人の業務の範囲に属する業務を行うことは禁止されているため(社会保険労務士法第25条の18)、社会保険労務士法人の社員である社会保険労務士は、自分が社員である社会保険労務士法人以外の事業所で社会保険労務士業務を行うことはできません。また、例えばコンサル会社に勤務社労士がいたとしても、その勤務社労士は事業所内の従業員等に関する業務しか行うことができないため、対外的に社会保険労務士と名乗って業務を行うことはできません。したがって、社労士事務所や社会保険労務士法人以外の事業所で、対外的に「社会保険労務士(社労士)」と称して社会保険労務士法に規定された業務を行うことは、相談、指導等も含め、できないということになります。
複数の開業社会保険労務士が共同で一つの事務所を設置してもいいでしょうか。
開業社会保険労務士(社会保険労務士法人の社員を除く)は、それぞれが個人事業主であり、個人事業主として事務所を1か所設置することとされています。そのため、複数の開業社会保険労務士が共同で一つの事務所を設置、運営することはできません。
一つの社会保険労務士事務所に複数の社会保険労務士が在籍することはあり得ますが、それは、開業社会保険労務士事務所に勤務登録した社会保険労務士がいる場合と、社会保険労務士法人の事務所に複数の社員がいる場合や社会保険労務士法人の事務所に勤務社労士がいる場合です。
複数の開業社会保険労務士がグループを作って業務等を協力して行うような仕組みを作り、例えばある社会保険労務士事務所のホームページに「協力事務所」のような形で他の社会保険労務士事務所を表示して一般の方からの相談等を受けてもよいでしょうか。
開業社会保険労務士は、事務所を2つ以上設置することはできません。自分の事務所がありながら、それ以外に社労士業務を行うために別の名称の事務所を設置することは社会保険労務士法第18条に違反することになりますが、ご質問のように、複数の社会保険労務士事務所が協力するような仕組みを作り、ある社会保険労務士事務所のホームページ上に協力事務所として他の社会保険労務士事務所を表示すること等については問題ないとされています。ただし、複数の開業社会保険労務士が自分の事務所とは別に共同で事務所を設置し、そこで手続き業務等を行うことは、社会保険労務士法18条の「事務所1か所の原則」に反するため行うべきではありません。
また、ある社労士事務所が社労士業務を別の社労士事務所に再委託する場合は、顧客にその旨を説明し、承諾を得るようにしなければなりません。
例えば開業社会保険労務士に子があり、その子が社会保険労務士試験に合格した場合、親が設置している社会保険労務士事務所に子を開業社会保険労務士として受け入れ、一緒に事務所を運営することはできますか。
親子であるなどの特別な事情で同一の住所にそれぞれ開業社会保険労務士として事務所を設置して社労士業務を行う場合であっても、開業社会保険労務士であれば、登録上はそれぞれ別の社会保険労務士事務所という扱いであり、少なくとも電話やFAX、メールアドレス等は別々に設置していただかなければなりません。
一つの事務所に複数の社会保険労務士を在籍させることについては、通常、個人事業所の社会保険労務士事務所であれば、一人が開業社会保険労務士として登録し、それ以外の方はその事務所に勤務登録していただくことになります。社会保険労務士法人であれば社会保険労務士法人の社員として複数の社会保険労務士を在籍させることが可能であり、また、社会保険労務士法人の事務所に勤務登録する社会保険労務士を在籍させることも可能です。
開業社労士が事務所を設置するにあたり、ある特定の住所に登録上の事務所を設置しながら、実際の業務はそれ以外の場所で行うようにしてもよいでしょうか。
事務所として登録した住所に実態として事務所が存在しない場合や、いわゆる「住所貸し」で住所を提供するようなサービス、あるいは登録した住所で郵便物や電話の受付も含めて対応するような類似のサービスを利用し、社会保険労務士やその他従業員が常駐しない場所を社会保険労務士の事務所として登録することについては、社会保険労務士法違反となる危険性があります。
社会保険労務士法第18条における「事務所」の定義は、「開業社会保険労務士が継続的にその業務を執行する場所」であり、その判断は外部に対する表示、設備の状況、使用人の有無等の客観的事実に基づくこととなります。事務所として登録した住所において実際の業務ができず、業務上必要な各種書類の管理もできないような、事務所の体をなしていない状況では、そこは事務所の定義から外れることになります。また、登録した事務所がありながら実際には他の場所で業務を行っているということについても「その業務を行うための事務所を二以上設けてはならない」という社会保険労務士法第18条の規定に反することになります。
開業社会保険労務士の事務所については、業務活動の本拠として実際に業務を行う場所を登録するようにしなければなりません。
例えば社会保険労務士事務所が税理士事務所と同一の住所、同じ建物の中に設置されている場合、電話番号を税理士事務所と同じ番号としてもいいですか。
社会保険労務士は税理士と扱うことができる業務が異なり、税理士事務所で社労士業務(労働・社会保険関係手続業務)を行うことはできません。また、社労士事務所が税務代理や税務相談等の税理士業務を行うこともできません。独占業務の扱いについての混乱や契約上のトラブル、事故等を防ぐ意味からも、同じ建物に社労士事務所と税理士事務所、あるいは他の事業所の事務所がある場合でも、電話番号はそれぞれ別の番号にするような扱いにするべきです。