開業社会保険労務士や社会保険労務士法人の業務案内について、ホームページやパンフレット、メールの署名等で、事務所以外の場所、例えば開業社会保険労務士や法人の社員の自宅や他の事業所の電話番号や住所等を相談窓口や文書等の送付先、問合せ先として案内してもいいでしょうか。窓口が複数あると利用者にとって便利だと思うのですが。

 社会保険労務士の資格は特定の個人に与えられるものであり、資格を有する者自身が業務を行わなければならないという観点から、開業社会保険労務士は、社会保険労務士法により事務所を2か所以上設置することはできないことになっています(社会保険労務士法第18条第1項)。
 事務所を1か所設置していながら、事務所以外の場所、例えば自宅や他の事業所にも事務所と誤認させるような表示をする、自宅や他の事業所の場所を広告宣伝する、あるいは自宅や他の事業所でも業務の依頼に対応できるよう自宅や他の事業所の住所や電話番号等の周知をするなどして、通常の事務所以外の場所も継続して業務を行うための場所として判断される場合には、社会保険労務士法違反となります。
 社会保険労務士法人の社員が、その業務について所属する社会保険労務士法人の事務所以外の事業所等の住所や電話番号を案内することも社会保険労務士法違反となります。社会保険労務士法人の社員は、社会保険労務士法人という主体の下で業務を行うという立場上、社会保険労務士業務を行うための事務所を設けてはならないことになっています(社会保険労務士法第18条第2項)。また、社会保険労務士法人の社員が自己または第三者のために社会保険労務士法人の業務の範囲に属する業務を行うことは禁止されているため(社会保険労務士法第25条の18)、社会保険労務士法人の名称を表示しながら自宅や他の事業所の住所、電話番号等で業務を受け付けるような案内をすることは不適切ということになります。