社労士と社労士制度 よくある質問(Q&A FAQ)※掲載事項に関する一般の方からのご質問にはお答えしておりませんのでご了承ください。
株式会社や合同会社等の会社として社会保険労務士事務所を設置し、例えば「株式会社〇〇社会保険労務士事務所」のような形態で社会保険労務士業務を行うことはできますか。
事業所の名称の如何にかかわらず、また、事業所内に社会保険労務士がいたとしても、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社が社会保険労務士事務所として社会保険労務士業務を行うことはできません。開業社会保険労務士は、個人事業主としてその業務を行うための事務所を1か所設置し、その業務を行うこととされています(社会保険労務士法第18条)。また、社会保険労務士業務を組織的に行うことを目的として設立が認められている法人は、社会保険労務士法人だけです(社会保険労務士法第25条の6)。
開業社会保険労務士が社会保険労務士事務所とは別にコンサル会社を設置して「相談・指導」業務を行う場合、社労士事務所とそのコンサル会社の両方で「社会保険労務士」と名乗って業務を行うことはできますか。
社会保険労務士法に規定された社労士の業務のうち、1・2号業務(労働・社会保険関係手続業務)は社労士以外の者が行うことはできませんが、3号業務(相談・指導)は社労士でなければ行うことができないというものではなく、社労士事務所ではないコンサル会社等でも行うことができます。しかし、そのコンサル会社に開業社労士が所属していたとしても、その社労士は、自身の事務所以外の事業所で社会保険労務士を名乗って業務を行うことはできません。社労士事務所とコンサル会社の2か所で社会保険労務士として業務を行うことは、事務所1か所の原則に反することになります(社会保険労務士法第18条第1項、第2項)。
なお、ご質問の事項と関連して補足すると、社会保険労務士法人の社員が自己または第三者のために社会保険労務士法人の業務の範囲に属する業務を行うことは禁止されているため(社会保険労務士法第25条の18)、社会保険労務士法人の社員である社会保険労務士は、自分が社員である社会保険労務士法人以外の事業所で社会保険労務士業務を行うことはできません。また、例えばコンサル会社に勤務社労士がいたとしても、その勤務社労士は事業所内の従業員等に関する業務しか行うことができないため、対外的に社会保険労務士と名乗って業務を行うことはできません。したがって、社労士事務所や社会保険労務士法人以外の事業所で、対外的に「社会保険労務士(社労士)」と称して社会保険労務士法に規定された業務を行うことは、相談、指導等も含め、できないということになります。
複数の開業社会保険労務士が共同で一つの事務所を設置してもいいでしょうか。
開業社会保険労務士(社会保険労務士法人の社員を除く)は、それぞれが個人事業主であり、個人事業主として事務所を1か所設置することとされています。そのため、複数の開業社会保険労務士が共同で一つの事務所を設置、運営することはできません。
一つの社会保険労務士事務所に複数の社会保険労務士が在籍することはあり得ますが、それは、開業社会保険労務士事務所に勤務登録した社会保険労務士がいる場合と、社会保険労務士法人の事務所に複数の社員がいる場合や社会保険労務士法人の事務所に勤務社労士がいる場合です。
複数の開業社会保険労務士がグループを作って業務等を協力して行うような仕組みを作り、例えばある社会保険労務士事務所のホームページに「協力事務所」のような形で他の社会保険労務士事務所を表示して一般の方からの相談等を受けてもよいでしょうか。
開業社会保険労務士は、事務所を2つ以上設置することはできません。自分の事務所がありながら、それ以外に社労士業務を行うために別の名称の事務所を設置することは社会保険労務士法第18条に違反することになりますが、ご質問のように、複数の社会保険労務士事務所が協力するような仕組みを作り、ある社会保険労務士事務所のホームページ上に協力事務所として他の社会保険労務士事務所を表示すること等については問題ないとされています。ただし、複数の開業社会保険労務士が自分の事務所とは別に共同で事務所を設置し、そこで手続き業務等を行うことは、社会保険労務士法18条の「事務所1か所の原則」に反するため行うべきではありません。
また、ある社労士事務所が社労士業務を別の社労士事務所に再委託する場合は、顧客にその旨を説明し、承諾を得るようにしなければなりません。
例えば開業社会保険労務士に子があり、その子が社会保険労務士試験に合格した場合、親が設置している社会保険労務士事務所に子を開業社会保険労務士として受け入れ、一緒に事務所を運営することはできますか。
親子であるなどの特別な事情で同一の住所にそれぞれ開業社会保険労務士として事務所を設置して社労士業務を行う場合であっても、開業社会保険労務士であれば、登録上はそれぞれ別の社会保険労務士事務所という扱いであり、少なくとも電話やFAX、メールアドレス等は別々に設置していただかなければなりません。
一つの事務所に複数の社会保険労務士を在籍させることについては、通常、個人事業所の社会保険労務士事務所であれば、一人が開業社会保険労務士として登録し、それ以外の方はその事務所に勤務登録していただくことになります。社会保険労務士法人であれば社会保険労務士法人の社員として複数の社会保険労務士を在籍させることが可能であり、また、社会保険労務士法人の事務所に勤務登録する社会保険労務士を在籍させることも可能です。