社労士と社労士制度 よくある質問(Q&A FAQ)※掲載事項に関する一般の方からのご質問にはお答えしておりませんのでご了承ください。
社会保険労務士が当事者の委任を受けて労使の団体交渉に同席する場合、代理権がないこと以外に注意すべきことは何でしょうか。
社労士が労使の団体交渉に出席する場合、団体交渉の冒頭において、社労士として出席するものであり、代理行為を行わないことを明確に表明するとともに、適正な労使関係を損なう危険性がある以下のような行為をしないようにしなければなりません。
①挑発的な言動を示す行為
②不当労働行為を示唆する行為
③労使双方が対立する論点について、一方の論拠にのみ基づく公平性を欠いた発言をする行為
社労士が会社役員又は労働組合役員ということもあり得ると思いますが、その場合、その社労士は、その所属する会社の労使協議や団体交渉に出席し、労働法の知識を活用して交渉に参加することはできますか。
会社と労働組合との交渉時に、社労士が会社側役員や労働組合の組合員として出席する場合については、制限はありません。
ただし、社労士が労使の団体交渉に出席する際に、その団体交渉に出席することを目的として事業所に雇用されたり会社役員になったりするのは、適正な労使関係を損なう行為として望ましくない場合があり、会則に基づく注意勧告の対象になることがあります。
社会保険労務士に仕事を依頼する場合、ある程度料金は決まっていますか? 例えば、労働者を1人雇い入れた際の労働・社会保険関係手続をする、あるいは就業規則を作ると〇〇円など、定価のようなものはあるのでしょうか。
以前は業務の種類に応じて全国社会保険労務士会連合会が定める報酬基準がありましたが、社会保険労務士法の改正により社会保険労務士の報酬基準は廃止され、現在は、社会保険労務士の報酬については自由化されています。そのため、業務の引き受け方(スポット業務、顧問契約等)や報酬の設定等については、社会保険労務士により異なります。
社労士事務所の中には、報酬額の概要をホームページ等で明示しているところもあります。報酬の額は、依頼された業務の内容等により異なってくることにもなりますので、依頼時に社会保険労務士から説明を受けるとともに、よく打ち合わせをするようにしましょう。
社労士が顧客と契約する際に、あらかじめ業務に関して価格を明示する必要はありますか。
社労士が社会保険労務士法第2条第1項各号に定められた労働・社会保険関係書類の作成、提出代行、事務代理及び相談・指導等の業務並びに法第2条の2の補佐人業務を行う場合は、社会保険労務士法施行規則第 12 条の 10(報酬基準の明示義務)に従い、報酬額の算定の方法その他の報酬の基準を明示することとされています。
社労士は、業務を引き受ける際の報酬基準について依頼者に対して丁寧に説明することにより、業務の受任後に報酬に関するトラブルが生じることのないよう対応しなければなりません。
社労士は、社労士に対し仕事を依頼しようとしている人から相談を受けた際に、場合によっては価格を吊り上げてもよいでしょうか。価格が高いか安いかを判断するのは依頼者であり、条件が合わなければ依頼者の方から断るのも自由なので、社労士側としても自由に価格を提示したいのですが。
ご質問のような、依頼者によって価格を吊り上げるような行為をするべきではありません。社会保険労務士法施行規則第12条の10により、社会保険労務士又は社会保険労務士法人は、社会保険労務士法第2条第1項各号に掲げる事務並びに法第2条の2第1項に規定する出頭及び陳述に関する事務事務を受任しようとする場合には、あらかじめ、依頼をしようとする者に対し、報酬額の算定の方法その他の報酬の基準を示さなければならないとされています。ご質問のように価格を吊り上げようとすると、報酬の基準を明示することが困難になることが容易に想像でき、また、報酬額も公序良俗に反する内容になる危険性があるため、社会保険労務士に対する信頼を失わせるものと言えます。