社会保険労務士は、例えば労働者の賃金未払い等の問題について労働者から依頼があった場合に、労働者と共に、あるいは単独で事業所に行って、労働法関係の専門知識を生かして事業主に対し賃金を払うように主張、交渉等をすることはできますか。

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 弁護士法第72条で「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立、審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」と規定されています。ご質問のように、社労士が労働者に代わって事業主との交渉を労働者の代理人として行い、主張、意思表示を行うことについては、特定社会保険労務士が裁判外紛争解決手続(ADR)のあっせんの場等で行う場合を除き、社会保険労務士法に根拠規定はなく、弁護士法72条に違反する(非弁行為)ことになります。
 労働者ではなく事業主に依頼されて、労働者に対し意思表示を行うことについても同様ですので、注意が必要です。