社会保険労務士は、顧問先の事業主から依頼された場合、その事業所の従業員についての解雇や退職勧奨等の意思表示を、事業主に代わって行うことはできますか。

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 ご質問のような状況で、社会保険労務士に広範にわたる代理権は与えられておらず、個別の交渉で社会保険労務士が事業主の代理人になること等については、弁護士法第72条で禁止されています。弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができません。社会保険労務士が代理人となれるのは、特定社会保険労務士が個別労働紛争において裁判外紛争解決手続(ADR)のあっせんの場に立ち会う場合等に限られます。
 また、解雇の問題については、労働契約法第16条によって相当性、合理性を欠く解雇は無効とされます。社会保険労務士が事業主に依頼されて解雇等の問題に関与する場合、労働社会保険諸法令に違反する行為について指示をし、相談に応じ、その他これらに類する行為をすることは社会保険労務士法第15条(不正行為の指示等の禁止)により禁じられていることを常に意識していなければなりません。